は、子安貝ではなくて、古くて硬い燕の糞(ふん)だった 。国王の耳にまでかぐや姫の噂が届(とど)き、その美人に会いたくなりました 。ある日、竹採りの家に行って、かぐや姫に会ったところ、とても気に入ったので、宮中に連れて行きたくなりました 。かぐや姫は、「私は人間の世界(せかい)のものではないので、行けません 。」と断(ことわ)りました 。でも国王はかぐや姫のことを忘れられませんでした 。ある夏、かぐや姫は月を見て涙(なみだ)を流(なが)していました 。おじいさんに聞かれても、かぐや姫は黙(だま)っています 。だんだんかぐや姫は寂(さび)しそうな様子(ようす)になって、毎晩、月を見て泣いています 。おじいさんとおばあさんはとても心配(しんぱい)ですが、何もできません 。八月の十五夜(じゅうごや)の前の日、かぐや姫はおじいさんとおばあさんに自分の悩(なや)みの理由(りゆう)を話しました 。「私は人間の世界のものではないのです 。月から来てちょっとの間、人間の世界に住(すむ)ことになりましたが、そろそろ帰らなければなりません 。十五夜になると月から天女が迎(むか)えにきます 。お世話(せわ)になり、どうもありがとうございました 。」おじいさんとおばあさんはその話を聞いてとても寂しくなりました 。行かないでと言っても、かぐや姫は「帰らなければなりません 。残念ながら、仕方がありません 。ごめんなさい 。」と答えました 。すると、おじいさんは国王にかぐや姫が月へ帰ることを知らせて、行かせないように頼みました 。国王が武士(ぶし)を二千人、竹採りのおじいさんの家に行かせました 。十五夜の夜更(よふけ)、おじいさんの家のまわりは、武士いっぱいでした 。半分(はんぶん)は屋
根(やね)に登(のぼ)って、半分は家のまわりに立って、みなはかぐや姫を守(まも)ろうとしています 。家の中で、おじいさんとおばあさんはかぐや姫の手をとって、月の人を待っています 。外で、弓(ゆみ)と矢 (や)をもって、武士達は満月(まんげつ)を見てまっていました 。すると、月が一番(いちばん)丸い時、天から月の人が降りてきました 。月の天女(てんじょ)たちは光輝いているので、武士は眩(まぶ)しくて矢も放てないし、不思議(ふしぎ)なことに戦(たたか)う力と意志(いし)もだんだんなくなってしまいました 。武士たちも、おじいさんとおばあさんも何もできないうちに、かぐや姫は家を出て、月の人に会いに行きました 。かぐや姫はおじいさんとおばさんにもう一度(いちど)謝(あや)まりました 。「私も別(わか)れたくないですが、仕方がありません 。月の世界に戻(もど)らなければいけません 。時々(ときどき)月を見て、私のことを思い出してください 。」と言って、国王にも手紙を書きました 。そして、天女がかぐや姫に天の衣(ころも)をきせ、再(ふたた)び月の人になったかぐや姫をつれて行ってしまいました 。
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